イボ

イボとは
イボは、医学用語では「疣贅(ゆうぜい)」と呼ばれていて、皮膚表面からドーム状に盛り上がった小さな出来物を指します。
イボができる原因
まず、イボは大きく2種類に分けられます。一つは“ウイルスが原因でできるイボ”、そしてもう一つは“紫外線や加齢、摩擦が原因でできるイボ”です。
ウイルス性
ヒトパピローマウイルス(HPV)
ウイルスが原因のイボで代表的なのが、ヒト乳頭腫ウイルス(ヒトパピローマウイルス:HPV)というウイルスに感染することで起こるものです。HPVには多くの種類があり、感染したウイルスの種類によってイボの症状やできる場所が異なります。
伝染性軟属腫ウイルス
伝染性軟属腫ウイルスというウイルスもイボの原因となります。伝染性軟属腫と名付けられていますが、一般的には「水イボ」と呼ばれ、こちらも頻度の高いイボの一つです。
これらウイルスによるイボは、主に傷口などからウイルスが侵入し、皮膚に感染することで発症すると言われています。ウイルス感染が原因のため、接触感染によって広がることが多く、患部を触った手で他の部位に触れることにより、身体の他の部位に飛び火したり、周囲の人に感染したりする可能性があります。
紫外線・加齢・摩擦
紫外線や加齢が原因のイボはウイルス感染ではなく、長年の紫外線によるダメージや、加齢による皮膚の老化、また洋服などでの摩擦による刺激などが原因で起こると言われています。30代頃から発症しはじめ、加齢とともに増加します。
イボの種類と見分け方
名称 | 特徴 | できやすい部位など | 原因 | |
---|---|---|---|---|
ウイルス感染によるもの | 尋常性疣贅 | 一般的なイボの半数以上を占める 表面がざらざら 肌色や白色、褐色 | 手指や足の裏など | ヒトパピローマ ウイルス(HPV) |
青年扁平疣贅 | 扁平で小さな突起が たくさんできる | 顔や腕、背中など 若い女性に多い | ||
尖圭コンジローマ | 肛囲・外陰部に生じる 乳頭腫状の柔らかい結節 | 外陰部や肛門の周囲 | ||
ミルメシア | ウオノメによく似ている | 小児の足底に単発 | ||
伝染性軟属腫 | 小児に生じる表面に 光沢のある結節 | 子どもに多い | ポックス ウイルス | |
紫外線・加齢・摩擦 によるもの | 老人性疣贅 (脂漏性角化症) | 表面がザラザラ 褐色や黒色に 盛り上がる | 顔や手 腕など | 長年紫外線を 浴びてできる |
軟性線維腫 (スキンタッグ) | 数ミリメートル程度の 褐色で軟らかい でっぱり | 首やわきの下、 鼠径部など | 摩擦や加齢、 紫外線など |
当院のイボの取り方・治療方法
冷凍凝固法
冷凍凝固法はマイナス196℃の液体窒素でイボを凍結して壊死させる治療法です。尋常性疣贅や脂漏性角化症などのイボに対する治療法として最も一般的な治療で、保険が適用されます。治療は簡単で何度でも繰り返し行うことができるということもあり、広く用いられています。凍結によってイボの組織が壊死すると、徐々にかさぶたになり、最終的に脱落して傷になります。傷が治癒すると正常な皮膚になりますが、イボが残っている場合は1~2週間に1回のペースで同様の治療を続けていきます。
冷凍凝固療法は高い効果が見込めることと、体へのダメージが少ないことがメリットです。強く当てる方が、結果としてイボの治りは良い場合が多いです。
治療後は当日から入浴可能で、絆創膏やガーゼで保護する必要はありません。数回の凍結療法で治ることが多いですが、足の裏や爪のまわりイボは治りにくいことも多く、数十回の治療を必要とすることもあります。ただし3ヶ月ほど治療を続けても治りが悪い場合は、別の治療法に切り替えたり、ほかの治療法と併用したりすることも検討します。
炭酸ガスレーザーによる焼却(保険適用外、老人性疣贅・スキンタグのみ)
レーザーでイボ組織を蒸発させて除去する治療法です。液体窒素療法で効果が見られない場合や、大型の難治性イボに対して行うことがあります。炭酸ガスレーザーは水分を含むものに吸収される性質をもち、皮膚には水分が多く含まれるため、 照射すると一瞬にして熱エネルギーに転換して組織を蒸散させることができます。
短時間に高エネルギーをピンポイントで照射することができるため、治療時間が短く、皮膚組織の損傷を最小限することができます。
また、レーザーを照射した周辺の血管は熱凝固作用で瞬時に固まるため、メスで切除するよりも出血が少ないことが特長です。
局所麻酔を要する処置で、治療後1~2週間はガーゼを当てる必要がありますので、複数箇所を同時に治療するのには適していません。
手術による除去
イボの周囲の皮膚を切開し、イボを除去します。早く除去したい方や治療回数を少なくしたい方などに適していますが、傷跡がしばらく残ることがあります。
外用薬
主に小児などに行われる治療で、トリクロロ酢酸を塗ります。痕が残りにくいので、繰り返して治療できます。痛みはあまりありませんが、治療期間は数か月かかり、外科的な手術と比較すると、時間はかかります。
内服薬
ヨクイニンは、イネ科の植物であるハトムギの種子に含まれる成分を抽出した内服薬です。ヨクイニンを服用することで免疫力を高めてイボの改善をはかります。即効性はありませんが、大きな副作用はなく、とくにお子様に効果が高いことが報告されています。効果が出るまで時間がかかることが多いため、まずは3か月ほど内服するのが一つの目安です。
イボができたときやってはいけないこと
イボができたときに絶対にやってはいけないことが2つあります。それは、
- ・イボを放置すること
- ・イボを自分で取ろうとすること
です。
これらの2つはイボを余計に悪化させる危険があります。とくにウイルス性のイボは他の部位にうつることがあるので、触らないようにしてください。
イボの多くは良性ですが、まれに悪性の可能性もあるので、イボを見つけたら早めに病院を受診するのがよいです。
イボ取りの費用
液体窒素による冷凍凝固術(3割負担の場合)
- ・3個以下 630円
- ・4個以上 810円
手術による切除
大きさ、露出部、非露出部によって変わりますが、
3割負担の方で1ヶ所10,000円程度です。
炭酸ガスレーザー
保険適用外となります。
ご希望の方は神奈川県川崎市中原区武蔵小杉駅すぐのこすぎ皮ふ科、武蔵小杉皮ふ科へご相談ください。
※どの処置を適用するかは、医師の診察後に決定させていただきます。
<青色部の代替案>
3割負担とした場合の手術費用の目安を記載します。
皮膚・皮下腫瘍摘出術(露出部)
- ・直径2cm未満:5,000~6,000円程度
- ・直径2cm以上4cm未満:11,000~12,000円程度
皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)
- ・直径3cm未満:4,000~5,000円程度
- ・直径3cm以上6cm未満:10,000~11,000円程度
“露出部”とは”頭・首・顔・肘から手首にかけて・膝から足指にかけて”の部位です。
“露出部以外”は”胸部・腹部・腰部・上腕部・大腿部”を指します。