にきび治療薬について -皮膚科で処方される薬の特徴と選び方-
にきび(尋常性ざ瘡)は、毛穴の詰まりやアクネ菌の増殖、皮脂の過剰分泌、炎症など、さまざまな要因が関与する慢性の皮膚疾患です。皮膚科では、にきびの種類や重症度に応じて医学的根拠(エビデンス)に基づいた治療薬を使用します。
■ アダパレン(ディフェリン®など)
- 毛穴の詰まり(面皰形成)を改善する「レチノイド様作用」
- 白ニキビ・黒ニキビの初期に有効
- 継続使用で“できにくい肌”へ導く
- 日本皮膚科学会ガイドラインで第一選択薬
■ 過酸化ベンゾイル(ベピオ®など)
- アクネ菌を殺菌+角質をやわらかくするピーリング作用
- 白ニキビから赤ニキビまで対応
- 耐性菌ができにくく、長期使用も安心
■ 外用抗菌薬(クリンダマイシンゲルなど)
- アクネ菌の増殖を抑制+炎症を鎮める
- 耐性菌のリスクがあるため、単剤使用は非推奨
- 通常は過酸化ベンゾイル等との併用が基本
■ 過酸化ベンゾイル/アダパレン配合ゲル(エピデュオ®など)
- 毛穴詰まりを改善するアダパレンと殺菌・抗炎症作用のBPOを配合
- 初期面皰~赤ニキビまで幅広く対応
- 治療効果が高く、第一選択薬として推奨
ニキビに使用される内服薬について
外用薬だけではコントロールが難しい中等度〜重度のニキビに対しては、内服薬が効果的な場合があります。皮膚科では、患者様の症状に応じて抗菌薬や皮脂分泌抑制薬を適切に使い分けて治療を行います。
■ 内服抗菌薬(ドキシサイクリン・ミノサイクリンなど)
- 中等度〜重度の炎症性ニキビに対して使用される抗菌薬です。
- アクネ菌の増殖を抑え、ニキビの炎症を鎮めます。
- ガイドラインでは「3ヶ月以内の使用」が推奨されており、過酸化ベンゾイルなどとの併用が基本です。
- 長期使用による耐性菌出現のリスクがあるため、適切な管理が必要です。
■ イソトレチノイン(自費内服薬)
- 皮脂分泌を根本から抑える作用があり、重症のニキビに高い効果を発揮します。
- 欧米では標準治療薬として広く使用されており、日本では自費診療となります。
- 毛穴の詰まりや炎症を同時に抑えることで、再発を防ぐ長期的効果が期待されます。
- 妊娠中の使用は禁忌であり、定期的な血液検査など医師の管理下での使用が必須です。
市販薬と皮膚科の治療薬の違い
■ 市販薬と皮膚科の治療薬の違い
- 市販薬は軽度ニキビには有効なこともありますが、根本改善には限界があります。
- 重症化や潰してしまう前に皮膚科で適切な診断と治療を受けましょう。
- ニキビ跡や色素沈着などの美容面も医師が総合的に対応します。
にきび治療を「皮膚科 × 美容」の視点で
■ 皮膚科によるにきび治療の多様性
こすぎ皮ふ科では、保険診療による標準治療に加え、自費治療のピーリングやレーザー治療などの美容皮膚科的アプローチも組み合わせた個別ケアを行っています。にきびの治療は早期対応が大切です。お気軽に専門医までご相談ください。